バランスを取るのは難しい。 誰もがそれを放棄したがる程に。
極端な選択は常にビビッドである。 主張というものがはっきりとしており、その色彩の鮮やかさに人は目を奪われ、熱狂する。
右と左。
上と下。
黒と白。
そのような二極化した色彩の中で、私が常に心救われたもの。 それは、その色と色の遷移の中にある、名のない中間色の存在だった。
これらは往々に鮮やかな色の主張にかき消され、その無記名性から必然的に存在感も薄かった。
だが私は経験のうちにその感覚を強くした。 私が心打たれてきたのは常にこの中間色の賢者達である。
みなに正しさがあることを理解し、 みなが間違っていることを認めた上で、 真の文脈が始まる。
バランスを取ることは非常に面倒で疲れる。 平均台の上。常に風が吹き、昨日と自分の意見が変わる不確かささえ許容する。 そこにそこにはっきりとした輪郭すらなく、常に揺れている。
ただ、真の選択とはこの平均台の上にある。 それは内省そのものである。
バランスに完成はない。常に秤に重りを載せ続ける。 そしてそれはある瞬間、黄金のような静寂と均衡を生む。
全てはカオスから始まり、今バランスの道を歩んでいる。